教員紹介教員紹介

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造形学部 建築学科
教授 学長
髙橋 実 Minoru Takahashi
セラミックプロセッシング、粉体工学
セラミックの粉体成形(粉をカタチにする)の研究が専門です。軽量タイルなど大型産官学共同研究を主導しています。
髙橋 実

プロフィール

所属
造形学部 建築学科
役職・職名
教授 学長
最終学歴
東京⼤学⼯学系研究科資源開発⼯学専⾨課程修⼠課程 修了
学位
⼯学博⼠
研究キーワード
1,セラミックス粉体成形 2,環境セラミックスの開発 3,自然に学ぶセラミックスプロセッシング
研究テーマ
粉体成形を軸とした、セラミックスの原料調製、成形、焼成に亘るプロセッシング研究

研究・活動紹介

セラミックス粉体成形における基礎科学の確立

加圧成形から始まり、可塑成形、射出成形、テープ成形、鋳込み成形と主要かつ代表的なセラミックス成形を幅広く検討しました。陶磁器からファインセラミックスまで、形状・用途に応じていずれかの成形法が選択されます。成形原料の状態は乾粉からスラリーまで様々であり、それに応じて必要な学問分野は、無機化学は勿論のこと、粉体工学、固体力学、流体力学、レオロジー、界面科学、有機科学など広範に及びます。大切なことは、焼成前の成形体の質(均質性、均一性、充填構造など)が焼成後のセラミックスの特性に著しい影響を与えることです。原料組成や焼成条件に的を当てた研究が主流であった中、成形プロセスに焦点を絞った研究はセラミックス特性の鍵を握る研究分野として注目されるに至りました。

セラミックス粉体成形における基礎科学の確立

顆粒粉体層の圧密と顆粒変形
加圧成形における顆粒原料と成形挙動との関係を定量的に解析した概念図です。

セラミックス粉体成形における基礎科学の確立

円筒型鋳込み成形におけるケーキ成長の実験結果と計算結果の対比
FEM(有限要素法)を用いて三次元的ケーキ成長過程を解析したものです。

ゲルキャスティングを利用した環境セラミックスの開発

タービンブレードなど複雑形状物は上述した伝統的成形法では作製が困難です。ゲルキャスティングは、スラリーにモノマー、開始剤、触媒を混ぜ、型に注入後にモノマーを重合させてその場で固化した成形体を作製する方法です。均質な成形体が得られる、透水型が不要など優れた方法です。しかし、大気下では酸素のために重合が抑制されてしまいます。そこでゲル化剤として寒天などを使い大気下でも可能なゲルキャスティンク法を開発しました。この成形法を用い、集塵フィルター、軽量タイル、緑化壁、ヒートアイランド対策タイルなどの環境セラミックスを創製しました。

ゲルキャスティングを利用した環境セラミックスの開発

緑化壁(セラミックス多孔体)の冷却効果の実証試験
緑化壁は名古屋工業大学の教育棟で実証試験を行ない、一定の冷却効果を示しました。

自然に学ぶセラミックスプロセッシング

「自然」に学ぶは生体を含み、機能性に優れた生体の構造模倣が活発に研究されています。ステアリン酸単分子膜での様々な炭酸塩やアパタイトを合成し、特異な配向性を持つ結晶が成長するなど興味深い結果が得られました。酵素利用プロセッシングでは、ウレアーゼ(尿素分解酵素)を使い尿素を分解して溶液(水)のpHを変化させ、スラリーを均一に凝集固化する成形法にヒントがありました。これをセラミックス粉末の合成に応用しました。アルミナ水溶液のO/Wエマルション表面へアルミナ前駆体を選択的に沈殿させ、熱処理によりアルミナ中空粒子が合成できました。

自然に学ぶセラミックスプロセッシング

珪化木模倣プロセスによるSiC多孔体の作製
珪化木は木の導管に珪石成分が浸潤し化石化したものであり、庭石などに用いられています。種々の木炭に珪石成分を湿潤させ、焼成反応により炭化ケイ素(SiC)多孔体が作製されます。

社会活動

主な学協会および社会活動

2010年4月大学共同利用機関法人自然科学研究機構経営協議会委員
2013年6月財団法人豊田理化学研究所理事
2013年6月国立大学協会理事
委員等は全て任期終了

学協会活動

「日本材料会誌」「粉体工学会誌」「Advanced Powder Technology」「セラミックス」の編集委員の歴任。(社)日本セラミックス協会の理事,窯業標準化委員会委員長,原料部会副部会長,粉体工学会の理事など

標準化活動

セラミックスに関するJISやISOの策定への貢献

産官学連携

経済産業省の都市エリア事業の指導や地域コンソーシアム事業、JSTの大学発ベンチャー創出推進事業の統括研究代表者など地域技術振興・新規研究開発事業への貢献

研究業績情報

主な受賞

1993年 粉体工学情報センター学術奨励賞
1998年 日本セラミックス協会1997JcerSJ優秀論文賞
2002年 APT (Advanced Powder Technology) Distinguished Paper Award
2007年 APT (Advanced Powder Technology) Distinguished Paper Award
2008年 日本粉体工業技術協会技術賞
2009年 ホソカワ粉体工学振興財団KONA賞
2014年 日本セラミックス協会功労賞

主な著書

① 1990年「Handbook of Ceramics and Composites, Vol.1」,Marcel Dekker Inc.(分担執筆)
② 1998年 「粉体工学便覧 第2版」,日刊工業新聞(分担執筆)
③ 2005年 セラミックス工学ハンドブック,技報堂(分担執筆)
④ 2009年「粉体の成形」, 粉体工学叢書 第6巻,粉体工学会編著,日刊工業新聞社(分担執筆)

主な論文

①“Dependence of Intergranular Fracture Strenght of a Compact of Pressed Granules on Their Deformation Characteristics”, Journal of the American Ceramic Society,69,No.1,9-12(1986)
②“Mixing and Flow Characteristics in the Alumina/Thermoplastic Resin System, Journal of the American Ceramic Society,71, No.12,1093-1099(1988)
③“鋳込成形における三次元的着肉成長の有限要素法解析”,日本セラミックス協会誌, 103,No.10,891-896
④“Enzyme-Catalyzed Synthesis of Hydrated Calcium Oxalate,” Advanced Powder Technology,12,No.4,493-505(2001)
⑤Yong Sheng Han, Gunawan Hadiko, Masayoshi Fuji, and Minoru Takahashi, “A novel approach to synthesize hollow calcium carbonate particles,” Chemistry Letters, 34,No.2, 152-153 (2005).
⑥Minoru Takahashi, Ruben L. Menchavez, Masayoshi Fuji and Hiroaki Takegami, “Opportunities of porous ceramics fabricated by gelcasting in mitigating environmental issues,” Journal of the European Ceramic Society, 29,No.5, 823-828 (2009).

研究支援室の連絡先情報

0564-48-4801 kenkyu@asu.ac.jp